女子中学生の夢
 義務教育9年間で最も刺激的な授業は、中学2年の理科の「カエルの解剖」だった。授業の前日、「班ごとにカエルを捕まえて来い」という宿題が出ると、男子は、待ってました、とばかりに大騒ぎし女子はいっせいに悲鳴を上げていた。
 授業当日は戦場の様だった。クロロホルムで眠らされただけのカエルは、メスを入れた刺激で突然動きだし、自分で内臓をぶち撒け、教室中パニックになった。全く解剖を見られずに、教室の隅で嘔吐く女子が何人もいた。
 放課後、ゴミ袋いっぱいに入ったバラバラのカエルを見てしまい、更に強烈な思い出を残すことになった。
 大人になってから、妹の同じ理科の教科書を発見した時、幼い頃のイメージのままの妹からはとてもあの授業を想像できず、違和感を覚えた。
 中学生になった妹はおしゃれに目覚め、かわいいアクセサリーを宝石箱に集めていた。
 あのグロテスクな授業があった夜は、カエルの腹から内臓を取り出す行為とアクセサリーを箱に納める行為がオーバーラップする悪夢を見ていたのではないだろうか。