主婦の夢
 結婚して間もない頃、妻の炊事をする後ろ姿を見ていると、時々申し訳
なく思う事がある。
 独身時代は、自分が台所に立って、すべてをこなしていたのに、今は妻
が食事の支度をしている。
 突然、解雇されたサラリーマンの様に手持ち無沙汰で、かえって落ち着
かなかった。何か手伝おうと思っても邪魔になるだけで、結局待っている
しかなくなる。見たこともないくだらないテレビ番組を見ながら、妻の心
境を想像してしまう。

 ある日突然、当たり前の様に台所に立たされ、男のために毎日臭い魚
をさばかなければならなくなった。独身時代のこの時間だったら、お洒落
をして友人達と遊びに出掛けているのに、と思っているに違いない。
 そんなストレスの溜まった夜は、毎日さばいている魚がアクセサリーに
見える悪夢を見ているのではないだろうか。