『主婦の夢』

七宝・ 銅・銀

2002年、第38回日本七宝作家協会国際展・法人20周年記念賞

 

結婚して間もない頃、 妻の炊事をする後ろ姿を見ていると、時々申し訳なく思う事がある。

独身時代は、自分が台所に立って、すべてをこなしていたのに、今は妻が食事の支度をしている。

突然、解雇されたサラリーマンの様に手持ち無沙汰で、かえって落ち着かなかった。

何か手伝おうと思っても邪魔になるだけで、結局待っているしかなくなる。

見たこともないくだらないテレビ番組を見ながら、妻の心境を想像してしまう。


ある日突然、当たり前の様に台所に立たされ、男のために毎日臭い魚をさばかなければならなくなった。

独身時代のこの時間だったら、お洒落をして友人達と遊びに出掛けているのに、と思っているに違いない。

そんなストレスの溜まった夜は、毎日さばいている魚がアクセサリーに見える悪夢を見ているのではないだろうか。