『女子中学生の夢』

七宝・ 銅・銀

2000年、第34回日本七宝作家協会展・東京都知事賞

 

義務教育9年間で最も刺激的な授業は、中学2年の理科の「カエルの解剖」だった。

授業の前日、「班 ごとにカエルを捕まえて来い」という宿題が出ると、

男子は、待ってました、とばかりに大騒ぎし、女子はいっせいに悲鳴を上げていた。

授業当日は戦場の様だった。

クロロホルムで 眠らされただけのカエルは、メスを入れた刺激で突然動きだし、自分で内臓をぶち撒け、教室中パニックになった。

全く解剖を見られずに、教室の隅で嘔吐く女子が何人もいた。

放課後、ゴミ袋いっぱいに入ったバラバラのカエルを見てしまい、更に強烈な思い出を残すことになった。

大人になってから、妹の同じ理科の教科書を発見した時、

幼い頃のイメージのままの妹からはとてもあの授業を想像できず、違和感を覚えた。

中学生になった妹はおしゃれに目覚め、かわいいアクセサリーを宝石箱に集めていた。

あのグロテスクな授業があった夜は、

カエルの腹から内臓を取り出す行為とアクセサリーを箱に納める行為がオーバーラップする悪夢を見ていたのではないだろうか。